野中晴(ハル)フィギュア、クオリティが高いのに売れ残る理由

イエスタデイをうたってフィギュア予約受付中(集英社)

冬目景の青春コミック「イエスタデイをうたって」の5巻が発売されていた。4月19日の事だったらしい。限定版がまだ残っていたので注文しました。今回ばかりはアマゾンのオススメメールに感謝します。個人の趣味や傾向を把握してることにプライバシー的不安は感じますが。

イエスタデイをうたって(5) 野中晴(ハルちゃん)オリジナルフィギュア付

この初回限定版、去年の春頃にアナウンスが始まり、ずっと発売日未定でした。こまめにチェックしている人でも、発売日の遅れは忍耐力の限界を感じることでしょう。私のように初回版の存在を忘れている方も多いのではないでしょうか?

私が発売されていることに気づいたのは6月中旬でした。優に2ヶ月近く経っています。しかし、未だに完売していない。これはどういうことなのでしょう?考えられうる原因を探ってみましょう。 もちろん、欲しい人には願ったり叶ったりの状況であることは間違いありません。

それでは、アマゾンの商品ページを見てみましょう。比較のため、通常版限定版を開いてください。

まず、限定版は、その価格の高さが目につきます。通常版530円に対し、限定版は3900円。価格差、実に3370円。3000円強あれば、単品で完成品フィギュアを購入することも可能です。だから、この限定版の価格はコミックとしては高すぎると私は思います。フィギュア付限定コミックの平均価格は1500円であり、この倍以上もする価格で敬遠された可能性があります。

フィギュアの完成度も気になります。冬目作品はフィギュア化された例がアマプロ問わず非常に少ないです。そこへ、いきなりフィギュアを投じても比較対象が無い。唯一の比較物は原作だけです。この状況での完成度とは、原作の雰囲気、キャラクターにどれだけ近づいているかにかかっているのではないでしょうか。そう考えると、完成度は読み手の原作への印象で大きく変わってきます。例えば、「ハルは元気な娘」と思っている人には、賑やかな雰囲気のフィギュア、「ハルは影のある不思議ちゃん」という印象の人は、アンニュイな感じのフィギュアが「出来のいいフィギュア」となります。そのどちらも満たそうとすると矛盾が生じてしまい、出来上がるものは白と黒を混ぜ合わせた灰色「特徴の無いもの」か、オレンジを食べた後の牛乳「気持ちの悪いもの」になってしまいます。もちろん、フィギュア界の大御所「宮川 武」氏が原型を担当しているので、一定のクオリティは保証されています。しかし、これはあくまで宮川 武のハルであって、あなたのハルではないかもしれない。読者と原型師(及び監修の原作者)の間でハルに対する捉え方が大幅にずれていたのかもしれません。特にフィギュアに興味が無い人には、そのズレは大きく感じることでしょう。

総括すると、高すぎる価格、読者により印象が大きく変わる冬目キャラの立体化の困難さ、購買層のフィギュア文化浸透度の未知数、これらが相まって在庫を抱えすぎた気がします。フィギュア化に挑戦するなら、コミックと抱き合わせて限定版とせず、単品売りで挑んで欲しかったです。今回の件で冬目キャラのフィギュアは売れないと諦めるのではなく、誰も挑んでいないからこそ、今後もどんどんリリースしていって欲しいと切に願います。