WAS -The Hourglass of Lepidoptera-

同人、インディーゲームにみる闇、Steamステマ依頼が発覚したサークル

ステルスマーケティング。所謂、お金を払って自社の商品に有利なレビューをして貰うことである。そこには商品への公正な評価は無きに等しい。お金を貰っているのだから悪い事は決して書けないのである。一時期、多くの芸能人が行い大炎上した事もあり、今では消費者からも忌み嫌われる行為となっている。

そこに飛び込んできたのは、日本の同人ゲームサークルが行った評価代行依頼の話。「たかが小さなサークルが作った趣味の同人ゲームでしょ?」と思われるだろうが、最近はSteamでも海外に向けてダウンロード販売されメジャーな存在になっている。それ故に、この件はPCゲーマー界隈で話題沸騰中である。

今回の第一発見者が誰なのかは不明。だが、PCゲーマーで且つ炎上屋としても定評ある"あの"やまもといちろう氏が記事にしてしまったのが不運の始まり。

クラウドワークスが悩ましい件で (やまもと いちろう オフィシャルブログ)

クラウドワークスは顔を合わせずオンラインで仕事を依頼することが出来るネットサービスだ。そこに「Steamでの評価レビューが行える方 予算~5000円」とあった。募集期間は2016年1~2月である。いくら、「英語で海外向けに」と言ったところで、結局はステマ。ダメ、絶対。

http://crowdworks.jp/public/jobs/516917 Web魚拓

この記事だけだと「クラウドワークスは糞案件ばかりだなぁ」で終わりになっていたことだろう。しかし、この依頼から発注主の素性がバレてしまったのだ。それもアッサリと。

  1. アカウント名がSNSと同じ
    評価代行依頼でのアカウント
    https://twitter.com/schwarz2012 twitterアカウント
  2. 評価代行依頼アカウントで、製作途中のサイトURLを載せており、ゲームタイトルを知ることが出来た(公式サイトは別にある)

と言うわけで、「WAS -レピドプテラの砂時計-」のサークル「S.R.L(時空調査研究所)」が発注者だ。作品の英語名は"WAS -The Hourglass of Lepidoptera-"。更にランサーと言う別のソーシャルサイトでも同様の評価代行依頼を行っていた。作品のサブタイトルと依頼主を見比べれば気づくと思う。こちらでは1件応募があったようだ。

http:///www.lancers.jp/work/detail/872970 Web魚拓

では、何故、ステマと言う愚かな行動に出てしまったのであろう?

完全に憶測であるが、思っていたよりも売れなかったからではなかろうか(英語版は18ドル、2ヶ月で1243人購入)。誰もが少ない初期投資で作品を作れるようになり、巷にインディーゲームが溢れた。話題性が無ければ瞬く間に埋もれてしまうご時世である。なので、売り上げを伸ばす方法を考えた挙句、評価代行依頼に行きついてしまったのかもしれない。勿論、募集先は普段から使い慣れているクラウドサービスでだ。

しかし、報酬を出していることから、お金に困っていると言う感じには見えない。そうなると、他にも理由があるように感じる。もしかしたら、物作りをする者に多い自己顕示欲が働いた可能性がある。「会心の作品を作ったのに、何で話題にのぼらないんだよ!もっと俺の作品を見てくれ!」と言う、あの心境である。この仮説が正しいなら、本来、力を入れるべきは作品に対してであって、ステマではないのだが。

何にせよ、評価代行依頼は、日本国内、海外でも法律に抵触する恐れのある危うい行為だ。法規制に関してはステルスマーケティング (Wikipedia)を参照して欲しい。例え法的に裁かれなくとも、Steamにおいてステマは禁止事項であり処罰の対象。公になればユーザーからの評価もガタ落ちになる。今までの努力を無駄にしないためにも、良い子のデベロッパー諸氏は手を出さないことをお奨めする。

さて、これに関連して別の問題がある。以下は本作品のSteamレビューである。2016年2月現在、16ある評価のうち、唯一ネガティブなのがこれ。

Jimmy » レビュー » WAS -The Hourglass of Lepidoptera-
BUYER BEWARE!

The saddest part is the negative reviews made in the past has been removed for unknown reasons & no one has complained those issues with the publisher, meaning the publishers have won & got away with this scandal.

意訳すると「一番悲しいことは、悪い評価が謎の理由で誰かに削除されてることだ」。

黒い。実に真っ黒い。先のステマ依頼と併せてみると、もうアウト!しかも、本ゲームの海外パブリッシャーは萌えゲー配信で名高いSekai Projectだ。大量の日本産ゲームを英語化して世に送り出し、今現在ノリに乗っている会社である。今後の活動に少なからず影響が出てくるのではなかろうか。悪い評価の削除にSekai Projectが関わっているのか、本ステマ騒動ともども、何らかの公式見解は欲しいところだ。連帯責任は免れないだろう。Sekai Projectより声明が出た。


-追記1-

まるほい氏のまとめもお奨めである。Steamで販売されている日本同人ゲームにステマレビュー疑惑、まとめてみた (maruhoi's blog)

ゲーム情報サイトAUROMATONでRitsuko Kawai氏が記事にした。クラウドソーシング上で「Steamの代行レビュー」が依頼される、国内のゲーム開発スタジオが関与か (Automaton)

AUTOMATONは現在、S.R.Lに質問状を送っており、本件に関するコメントを待っている。

だそうな。Rituko氏、KOWAイイネ!

ちなみに2016年2月27日2時現在、本サークルはクラウドワークスを非公開にしたり、twitterアカウントの自己紹介を微妙に変更したり、炎上具合を閲覧して回っているようだが、本件に関する声明はまだ発表されていない。


-追記2-

ここではS.R.L代表 川西正芳氏について迫りたいと思う。全て公の情報である。あえてリンクと一部抜粋、補足のみとする。

ドメイン情報及びYoutubeチャンネル情報Facebook情報Google+情報

Srl-net.jp ドメイン情報Youtubeチャンネル情報Facebook情報

25年度補正予算 創業補助金 (創業促進補助金) 6月30日締切分 採択結果(鳥取県事務局受付分)

平成25年度、西暦2013年。WAS海外版制作前。

25年度補正予算 創業補助金

 2014年7月27日、コミケ2週間前に一斉に各地方新聞でも取り上げられる。3部作のうち第1作目。

2014年夏コミ終了後、山陰放送のニュース"テレポート山陰"でWASが特集される。声優は"とある科学の超電磁砲" 御坂美琴役でも同じみの佐藤利奈さんとのこと。イベントで1日150本、ネットで300本販売。

その後、2014年10月頃Sekai ProjectとのWAS海外版クラウドファンディングが始まる。一般ユーザーからの融資に成功。同時にWAS第2章の資金集めをMakuakeにて個人で行う。こちらは目標額に達していないが全融資金は受け取れる仕組み。

WAS海外版の作業と並行して、川西氏が企画・監修する鳥取県八頭町PRアニメーション「KISEKIREI キセキレイ」の制作が始まる。2015年5月1日アナウンス。"実制作"はアニメ「秘密結社 鷹の爪」などを手がけた「ディー・エル・イー」。現在確認できるのはパイロット版のみ。正式版の存在は不明。

2015年、エンターテイメントラジオ「サタマニ♪」シーズン4第3週目のスポンサーとなる。桃太郎伝説の音楽等を手掛けた宮路一昭氏が配信している番組である。メインパーソナリティはキセキレイに出演の北川里奈氏。

サタマニ シーズン4の第3週目

4月18日159回目、6月20日168回目の放送では川西氏本人もゲストとして顔を出した。

2015年6月、会社サイト立ち上げ。株式会社eostre

会社概要事業内容

本記事では同人ゲームサークルと表記したが、2016年2月現在、資本金700万円のれっきとした会社である。事業内容にブランドSRLとしての実績が表記されている。鳥取銀行、鳥取信用金庫とも取引があることを添えておく。


-追記3-

Sekai Projectから契約破棄のアナウンスあり。詳しくは新しい記事へ。

Steam評価代行依頼のSRL、海外版販売元から契約破棄される