Irrlicht製商用ゲーム Galactic Dream: Rage of War

Galactic Dream: Rage of War Released (Irrlicht3d.org Blog)

Galactic Dream: Rage of Warがリリースされました。これは、Irrlichtを使用した、商業用リアルタイム宇宙戦略ゲームです。私はこのゲームを既にブログで紹介してはいますが、今回は完成版であり、以前より多少出来栄えが良くなっています。

翻訳 - 屋森英樹

早速、私もダウンロードして遊んでみました。キーボード操作を基本としているようで、マニュアルを読まないと満足にオペレーションが出来ませんでした。もう少しGUIを洗練し遊びやすくして欲しかったです。一応、ゲーム中にF1キーを押せばヘルプを見られます。

このゲームを制作したのはEvolution Vaultというスタジオ。問い合わせ先から察するにルーマニアに居を構えているようです。今回の作品が処女作で2年以上開発を続けてきたとのこと。自分達の理想とするゲーム像があり、これはその信念をまさに形にしたものだと言えます。多くの人に受け入れられるといいですね。

ここで視点を変えてプログラム構成を見ていきましょう。興味深い事にオープンソースの見本市的な仕上がりです。以下に公称されているライブラリ一覧を列挙してみます。

Irrlicht SSE2版:我らがIrrlicht。これが無いとお話になりません。ファイル名はIrrlicht_sse2.dll。SSE2命令でエンジンを独自に書き換え大幅に最適化したか、IRRLICHT_FAST_MATH定義を有効にしてirrMathのアセンブラを高速化したバージョンだと思われます。古いCPUでは動かないでしょう。

audiere:かつて、irrKlang発表前にIrrlicht DEMOにも使用されていたLGPLのサウンドライブラリ。ライセンスに多少不安が残るものの、自由に使える数少ない多機能サウンドライブラリです。

OpenAL:Creative社のサウンドライブラリ。オープンソースで公開されています。ライセンスは独特ですがロイヤリティフリーで制限無く使えます。audiereを使っているので、本来、こちらは不要なはず。採用されている理由を考えるとすれば、Vista対応を果たすためでしょうか。VistaではDirect 3Dサウンドが廃止され放置のままになっています。3Dサラウンドを実現するにはソフトウェアエミュレーションするしかありません。その最も有力なのがこのOpenAL APIとなります。Creative社がここぞとばかりに広報活動しており、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

enet:MITライセンスで公開されているネットワークライブラリ。このゲームの通信対戦部分に使われています。マルチプラットフォーム対応。

ライブラリをワンクッション置く事により、上手くすれば他の環境でも少ない手直しで動くようになるかもしれないですね。