移動機器の歴史 -ぽけべる-

携帯電話が当たり前のこの時代、生誕10周年を記念して過去に普及した移動機器を振り返ってみましょう。

まずはPHS。携帯が普及する少し前の1998年頃までは隆盛期でした。周りの人は高校生を中心に新し物好きが使っていた印象があります。まだ、携帯電話料金が高額で、PHSなら何とか支払えるといった状況でした。

更に遡ると、ポケットベルの時代です。1996年頃まで大流行し、ベル友(メル友)と言う言葉まで生まれました。自由に数列を送れた為、数字の語呂合わせでメッセージを伝える手法が編み出され、後に文字列も送信できるようになりました。14106(アイシテル)と言われた方もいるのではないでしょうか(参考文献)。これらは、現在の携帯メールに通ずるところがあります。

さて、このポケベル、歴史を辿るとかなり古くからサービスされている事が分かりました。

無線呼び出し(Wikipedia)

公衆サービスは1968年7月1日に、東京23区で旧電電公社により150MHz帯の多周波信号方式で開始された。開始当初の契約は4,751加入で、1969年3月末では11,708件の加入申し込みがあった。1971年3月末では、申し込み数39,090件、契約数13,672加入。申し込みに契約が追いつかなかった、当時のポケベル人気のほどが伺える。

なんと日本では40年も前からサービスされていたのです。しかも、年々伸びる加入者数はその人気の程を如実に表しています。用がある事を持ち主に伝えるだけでも、当時としては画期的なアイテムだったんでしょうね。

2007年4月1日現在、無線呼び出しサービスを提供しているのはYOZAN及びその傘下の沖縄テレメッセージの2社だけである。

しかし、PHSや携帯電話のような音声通話が主流になった今、急速に萎んだ市場では2社しか残っていません。これらがサービス終了するのも時間の問題かもしれないです。

「ベル友」ブームを巻き起こした「ポケットベル」の歴史(NTTドコモレポート No.55)

今年3月にサービス終了したdocomoが40年の総括をレポートしていますので、興味があれば読んでみることをお薦めします。

これで、「ポケベル文化は絶滅したのか」と言うと、そうでもありません。今も脈々と受け継がれています。「ポケベル打ち」をご存知でしょうか?

ポケベル打ち

ポケベル打ち(ぽけべるうち)は携帯電話端末への文字入力方法の一種である。「ベル打ち」など俗称も多いが、正式なマニュアルなどでは「2タッチ入力」や「ポケベル入力」と記されることが多い。

多くの文字数を、通常のかな入力に比べ少ないキー操作で入力できる特徴がある。

かな・英文字表示可能なポケットベルへ電話機からメッセージを送る際、かな・英文字1文字を送信するため2つの数字の組み合わせで打ち込む方式が国内で多く採用されていた。この文字入力方法をそのまま携帯電話端末で行えるようにしたのが「ポケベル入力」「2キー入力」「2タッチ入力」と表記されるモードであり、このモードで文字入力することを「ポケベル打ち」と言う。

携帯電話端末の通常のかな入力方法では、1文字を入力するのに1~5回のキー操作が必要であるのに比べ、必ず2回のキー操作で入力できることが特徴である。

子音(あかさたなはまやらわ)を選択後、母音(あいうえお)を12345のうちから選択し入力する。

例えば「お」と入力する際、かな入力では「11111」と押して「あ、い、う、え、お」を辿る必要があるが、ポケベル打ちの場合「"あ"キー(1)を5回押す」、もしくは「"あ"行(1)の5番目」という意味の「15」と入力する。

この定量入力方式は、どの携帯電話でも選択可能だと思います。初期設定はされていないので、気づかないかもしれないですけどね。私は通常入力に慣れてしまったのですが、かつてのポケベルユーザは切り替えてみてはどうでしょう?

携帯電話のカメラ、光と影

殆どの人々が所持しているカメラ付き携帯電話。その発明者がハイテク業界の雄フィリップ・カーンであることは「BorlandからCodeGearへ」に書いた通り。期を同じくして、彼はメディアの取材に答えていました。

カメラ付き携帯の発明者が語る、写真共有時代の文化的影響(ITmedia)

「思い出をとらえてそれを共有する手段が常に存在する。レストランに行けば、誕生日でみんながおもむろにカメラ付き携帯を取り出す。驚くべきことだ」(同氏)

1997年の発明から10年で、ここまで劇的に変化するとは、本人も思っても見なかった事でしょう。家族の写真を送りたい一心で閃いたアイディアが、世界中の人々に受け入れられたことは喜ばしいです。

しかし、その性急な変化に怖れも感じているようです。確かに、イジメや性犯罪に使われたり、ハッピー・スラッピングと言われる暴行行為にも使われてしまいました。便利ということが安易な犯罪を誘発している節も感じられずにはいられません。

訴訟のきっかけとなることもある。カリフォルニア大学ロサンゼルス校では警察官がスタンガンを使って学生を逮捕する様子が携帯カメラで撮影され、後にこの学生が、武器の過剰利用で警察を提訴した。また、変化を促す媒体ともなった。マレーシアでは、女性受刑者が裸でのスクワットを強要されていたことが、携帯カメラで撮影された映像により発覚、警察の行為に対する政府の調査が入った。

別次元では、親は(財布に入れた写真ではなく)携帯電話のスライドショーで子供の写真を見せびらかし、若者は自分の人生の通過点を携帯カメラで記録し、その場で写真を共有している。

逆に、いつでもどこでも便利に撮れるため、犯罪の証拠にもなり、また、生活に潤いを与える事も出来ます。使い方次第で良い事も悪い事も出来てしまう。それ故に使用者のモラルが問われます。
私の携帯も、低価格コンパクトカメラ並の撮影能力を有しています。観光先でメインカメラのバッテリーが切れてしまい、予備カメラとしてその性能を発揮してくれました。貴重な思い出を綺麗な画質で残してくれた事に感謝しています。今後も良い事に使っていきたいですね。