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2008年冬、64bit OS時代到来

今年2008年冬の年末商戦以降、一気に64bit OSが浸透するかもしれません。これはWindows Vista登場間近から噂されていた事ですが、いよいよ現実味を帯びてきました。

去年から続いていたDDR2 SDRAMの大暴落は、PCのメモリ搭載量を飛躍的に押し上げる要因となったのは記憶に新しいところ。今や、新しいPCでメモリ合計4GB未満を選ぶことは、余程の理由がない限り避けたほうがいいでしょう。少ない投資で快適さを得るならメモリの増量が一番効果的だからです。例えば、複数のアプリケーションを起動したときに、ガリガリと音を立てて動作が重くなるHDDスワップも、大容量メモリなら回避出来ます。

さて、ここで問題となるのがOSの認識出来る最大メモリ量。今、一番普及しているWindows XPは、多くの人が32bit版を使っていることでしょう。この32bit版XPで扱えるメモリの最大値は、2の32乗である4GBまで。実際はOSの制限で3GB程です。余剰メモリをRAMドライブとして使用することを抜きにすれば、Windows XPの機能だけでは、どうがんばっても、それ以上認識させることは不可能。そこで、標準で4GB以上のメモリを扱える64bit OSに注目が集まってきたのです。海外のPC通販サイトでは、OSにWindows Vistaの64bit版を搭載するのが主流になってきています。その効果もあってか、Vistaにおける64bit版の割合は、2008年10月に全ユーザの20%を超えました

では、64bit OSを使用するにあたり、注意しなければいけない事はなんでしょうか?2つあります。

1つは、使用中の機器に対応したドライバが存在するか。32bit用のドライバは流用できません。Vista発売時に散々言われていたデメリットです。しかし、それも今では解消されました。有名なメーカーの機器なら、64bit版ドライバが提供されていますので安心してください。また、サポート期間の過ぎた古い機器でも、OSに標準で用意されていたり、メーカーのサイトで公開されている場合があります。例外として、新製品でも地デジ用チューナーボードだけは注意しなければなりません。国内メーカーの製品は、どれも32bitドライバしか提供されておらず64bit OSで使用不可能。これは販売側の怠慢としか思えません。しかも、酷いメーカーになると、64bitドライバを提供していないのにVistaロゴに似せたマークを印刷して販売しています。有名なメーカーでも、日常的に行っている商法なので、64bit OSを使うときは十分注意してください。

2つ目は、使用中のアプリケーションが対応しているかどうか。現行の32bitアプリケーションであれば、驚くほど何の障害もなく動作します。問題なのは「16bitアプリケーション」と「特殊なドライバが必要」な場合です。Windows 95時代のアプリケーションは、インストーラーや本体が16bitの物が多く存在しました。64bit OSでは、「16bitアプリケーション」のサポートが切り捨てられてしまったので、それらを動かすことは出来ません。どうしても動かしたいのであれば、仮想環境にWindows 95をインストールして使ってみてください。

「特殊なドライバが必要」なケースのほうは、最近の32bitアプリケーションでも起こります。一番問題になりそうな例をあげると、不正使用防止のために設けたセキュリティ機構が該当します。一時期騒がれた、ルートキットまがいのドライバをOSに寄生させアプリケーションを監視するタイプは、最早絶望的です。64bit Windowsでは、未署名のドライバ、32bit以下のドライバはインストールできません。これらが代替の利くアプリケーションなら、使用を諦めれば済む話です。ですが、思い入れのあるゲームだったりしたら、泣かざるを得ません。とりあえず最良の解決策は、「古いOSを仮想環境のために保管しておく」、「ゲームは買ったら早い内に遊び、飽きるまでやり尽くす」ことです。

これら以外にも64bit OSの特徴が上手くまとまった特集記事が下記にありましたので、時間があれば読んでみてください。

64bit Vista完全導入ガイド (DOS/V Power Report - Impress)

最後に、もう1つ。別途、開発者が注意しなければいけないことがあります。64bitアプリケーションの作成のとき、OSのAPIやコンパイラがサポートしているデータモデルを常に意識しておく必要があります。C/C++を例にお話をします。64bit WindowsのVC++はLLP64モデルを採用しており、short int:16bit、int:32bit、long int:32bit、long long int:64bit、pointer:64bit。対する64bit Linux系のGCCはLP64モデルが採用され、long int:64bitだけ、LLP64モデルと異なっています。この相違点は、マルチプラットフォームでの開発で問題になります。LP64モデルを想定して作ったアプリケーションをLLP64モデルの環境でコンパイルすると、桁落ちを起こし異常動作するかもしれません。回避策は相違点のあるlong intを使わない、もしくはstdint.h(inttypes.h)をインクルードして明示的に変数幅を固定すること。それさえ守れば、OSやコンパイラ間、そして、32bitアプリケーションとの互換性を維持するのも難しくはないでしょう。

64bit#64ビットデータモデル (Wikipedia)

64ビットになると何が変わる?――64ビットプログラミングのデータモデル (2/2) (ITMedia)

Linuxと64bit環境 (VA Linux Japan株式会社)

2008年11月16日、Intelの新CPU、Core i7が発売されました。ハイパースレッディングによりOS上からは8コアに見えるそうです。対応マザーボードは、DDR3 SDRAMを3チャンネル単位で使うことが推奨され、合計6枚も挿せます。これは最大24GBのメモリが使えることを意味します。新しいPCの購入を考えている方は、これを機に思い切って64bitOSの世界に足を踏み入れてみては如何でしょうか。

2008年11月19日追記:デルを含む各ショップブランドから、OSにVista x64版を採用したCore i7搭載モデルが続々と販売開始されました。一応、XPにダウングレード出来るとこもあるようですが、メモリの問題も含め5年以上昔のOSで真価を発揮できるか疑問です。やはり、Vista x64版が妥当かと思います。

加速する光ディスクの世代交代、DVDからBDへ

今夏はBlu-rayレコーダーの販売数が伸びたそうです。北京オリンピック特需は期待外れのようでしたが、HD DVDとの規格争いの終結に続くダビング10解禁、即ちコピーコントロールの緩和が追い風になったと思われます。また、2011年に迫る地上アナログ放送停波に伴い、地上デジタル放送をハイビジョン録画しようと需要が高まってきたことも要因でしょう。この流れに乗りPC用Blu-rayドライブも続々と販売されてきています。今の勢いだと2~3年以内に容量で勝るBD-RがDVD-Rを完全に駆逐することになるかもしれません。CD-Rよりも早い勢いでDVD-Rの売り場面積が縮小される可能性があります。今日はそんなBlu-rayも含めた光メディアを、PC用に焦点を当てて話を進めてみたいと思います。

この十数年でPCは多目的用途に爆発的な普及を果たし、HDDに保存されるファイルサイズも指数関数的に増えました。その過程で、バックアップメディアとしての光ディスクも、CD-R、DVD-R、BD-Rと3世代も登場したのです。コンパクトカセットやフロッピーディスクを常用していた時代に比べたら、驚くべき速さで世代交代が起こっていると実感できるのではないでしょうか。

次の表をご覧ください。光ディスクの世代推移を表しています。これを見ると、規格制定から次世代記録ディスクが普及を始めるまでの期間が徐々に縮まっていることが確認できます。CDからDVDは20年、DVDからBlu-rayは14年です。普及年については、CD-RはWindows95 OSR2が登場した年(オレンジフォーラムが設立された次の年)、DVD-RはDVD±Rが出揃った年(1998年に製品化されたDVD-RAMは除外)、Blu-rayは2007年業界予想です。

光ディスクの世代遷移

この加速の要因は3つ。映画や家電業界が規格を採用したこと。PCにおける大容量メディアの要望が多かったこと。そして、決定打は光ディスクの価格が下落したことです。どれだけドライブ価格が下がっても、幅広い機器で扱えなければ普及しません。記録型DVDは規格が乱立して酷い有様でしたが、コンボドライブの登場で何とか普及に弾みがつきました。今回のBlu-rayでは、そのような混乱が無いのでDVDより早く広まるでしょう。後はBD-Rのビット単価下落を待つだけです。

さて、この流れで行くと、Blu-rayの次の世代はもっと早くに製品化されると考えるかもしれません。しかし、大容量化の目覚しいHDD、小型で携帯性に優れるフラッシュメモリといった強敵が存在します。これらへのバックアップ先分散により、おそらく、次世代光ディスクの大規模な普及は望みが薄いでしょう。もっとも、世代交代の加速度は更に増すと思いますので、その動向を刮目しましょう。

PhysX対応GeForceドライバで物理演算を体験してみた

GeForce Experience Pack (Power Pack - www.nvidia.co.jp)

GPU上で物理演算を実行可能にするPhysX対応GeForce Driver 177.83が、NVIDIAからリリースされました。それに伴って、PhysXを体験出来るアプリケーション一式が、Power Packとしてキャンペーンサイトで公開されています。そこで、我がPCのGeForce8800GT 512MBで実際に動かしてみました。ちなみに、PhysX対応GPUはGeForce8800以降から。それ以前のものでは機能しません。

  • Fluids(流体):技術デモ
    鉄砲水のごとく勢いよく水が流れ出します。ソフトウェアエミュレーションだとコマ送りになるほど重い処理が内部で行われています。ソフトウェアエミュレーションとハードウェア支援によるCPU使用率、GPU温度の差は、後者のほうが+14%、+12℃でした。CPU使用率が上昇した要因は、GPGPU支援により計算負荷が軽減され、描画回数が増えたからでしょう。何にせよ温度上昇が顕著ですので、PCケースのエアフローに気をつけましょう。
    Fluids技術デモ
  • SNEAK PEAK(スニーク・ピーク):NURIENデモ
    不気味の谷の住人がファッションショーをする中国製デモ。フリルがひらひら靡くと60フレームだったFPSが30フレームまで落ち込みました。GeForce9600GT以上推奨と明記されているので仕方ありません。
    NURIENデモ
  • SNEAK PEAK(スニーク・ピーク):METAL KNIGHT ZEROデモ
    途中で強制終了してしまうので全て検証出来ませんでした。およそ、40から60FPSの範囲で描画されていました。
    METAL KNIGHT ZEROデモ

他にもデモはありますが、FPSがどれくらいか把握できませんので割愛します。

まだ、GPGPUは統一規格がないため、今回のPhysXハードウェアアクセラレーションをRADEONで実行することは出来ません。GeForceだけの機能です。ですが、近いうちにGPGPU統一APIが策定されると信じています。これが実現すればフレキシブルに演算の負荷を分散できるのではないでしょうか。例えば、CPUに負荷がかかったときはGPUで演算、逆にGPUが悲鳴を上げているときはCPUで演算、というように。この流れで行けば、もっと先の未来では、ハードウェア的にCPUとGPUの区別が無くなるかもしれません。

MSI遊園地

MSI遊園地 (2ch)

ある日、2chに上記タイトルのスレッドが建っていました。なぜに自作PCスレに遊園地?写真を見て納得しました。

ヒートパイプのジェットコースターとネオンがすごい!

P35 Platinum Combo MSI遊園地1 P35 Platinum Combo MSI遊園地2

写真のMSI P35 Platinum Comboには開いているメモリスロットにLED付基板を挿せるそうです。もう、性能そっちのけで見てて楽しそうですよね。MSIはサポートの対応も迅速丁寧で、商品の付属品が豪華という印象があります。これからもユーザの度肝を抜く満足度の高い製品を出し続けていって欲しいです。

メディアドライブ難民、過去のデータが取り出せない

わたしのPC、MOドライブがないんですもの (1/3) (ITmedia)

PCを新調した。学校を卒業した。職場が変わった。そんなときに忘れず実行しておかないといけない事があります。それは各保存メディアからのデータ移動。これを怠ると必要なデータが救出出来ないばかりか、大損害を被る場合があるかもしれません。

2008年現在の移動用保存メディアの代表格は、USBメモリ(フラッシュメモリ)、DVD±RWでしょう。しかし、10年前はフロッピーやMOが全盛でした。CDやDVDでは書き込み時間がかかり、ドライブの互換性問題でデータを読めない場合もあったからです。このような過去に保存して保管しているメディアの存在を忘れ、読み取りドライブを手放していませんか?

私の手元にもいくつかありました。 まずは前述のMOが数枚。掃除中に偶然発見してしまったのです。ラベルが消えかかっており、何が入っているのか分かりません。記憶を辿ればWindows95時代に使用していたもの。ずっと使っていなかったので重要性は低そうです。データをサルベージしたくてもMOドライブは最低でも1万円以上する。「もし、思い出のデータが保存されていたらどうしよう?」と悩み、未だに捨てられません。更に驚いたのは、NEC PC-98で使用されていた1.25MB(1.44MB兼用)のフロッピーディスク。未使用も含めて500枚は存在していました。データを読むには、3モードFDDと1.25MB用ドライバ、OSにWin95かWin98が必要になります。しかし、Win98のCDを紛失、OSの動いていたHDDも故障してしまい、幾枚かは移動させる機会を失ってしまいました。しかも、先日購入したPCにはFDDをつけてませんので、最早リサイクルの機会さえ奪われてしまったのです。

このような悲劇を避けるためにも、メディアの主力を見極めてデータを移し変えていきましょう。 また、蛇足ですが、DVDメディアは品質にバラつきがあり、良質なメディアで数十年から100年以上の寿命、逆に粗悪品だと数年で劣化してしまうようです。これは価格とは比例しないため見極めは難しい。そのため、明確な耐久試験基準を作ろうという動きもあるようです。DVDメディアを扱う場合は、定温低湿な日陰に保管し、数年置きに新しいメディアにデータを移動させましょう。