PC用3Dグラフィックボードを製造販売しているNVIDIAが、3DVisionのサポートを中止すると発表。2019年3月8日のことである。
Following the posting of the final driver from Release 418 in April 2019, GeForce Game Ready Drivers will no longer support NVIDIA 3D Vision. The NVIDIA support team will continue to address critical driver issues for 3D Vision in Release 418 through April, 2020. Those looking to utilize 3D Vision can remain on a Release 418 driver.
https://nvidia.custhelp.com/app/answers/detail/a_id/4781
要約すると次の通り。
「2019年4月公開のGeForceドライバを最後に3DVisionはサポートされなくなる。2020年4月までは致命的なエラーに対してのみ対応する。このまま3DVisionを継続して使いたいユーザーは4月以降ドライバのアップデートをしない選択肢もある」(※2019年3月現在、ドライババージョンが既に419となっているが、公式の間違いを指摘するのは野暮と言うものだ)
3DVisionは2008年に登場した立体視(StereoScopic/ステレオスコピック)技術。120Hz以上の垂直リフレッシュレートに対応したモニターと、アクティブシャッター式眼鏡。この2つを揃えると立体映像でゲームや映画が楽しめる、と言う代物だった。
しかし、当時、120Hz駆動のモニターはフルHDなのに5万円前後と高額で選択肢が少なかった。 ほぼ消耗品とも言えるアクティブシャッター式眼鏡も2~3万円。しかも、充電必須なので長時間遊べない。それゆえ、Blu-ray 3D同様、まだまだ金持ちの道楽と言う域を出ていなかった。
3年後の2011年。輝度や解像度を改善させた3DVision 2をリリースするものの、いまいち流行に乗り切れず。この頃にはTVやモニターの主流が4K等の高解像度へ移ろうとしている時期であり、翌年には3DヘッドマウントディスプレイOculus Riftの足音が聞こえてきたのだ。
結局、眼鏡式の立体視機器はTVもモニターも低調のまま2017年頃にはひっそりと消えてしまった。
2019年現在、今では120Hzを超え144Hz駆動モニターも当たり前のように発表されている。しかし、肝心の アクティブシャッター式眼鏡の販売をNVIDIAが諦めて久しい。3DVision環境を整えたくても完全な新品では手に入らない状態なのだ。※アマゾンはマーケットプレイス経由で買えないこともないがトラブルは保証できない
幸い、PCゲームの3D立体視は、Oculus Rift、HTC Vive、Windows MRと代替手段が出来た。価格も3万円からと手頃だ。もう3DVisionは不要だろう。
GeForceドライバ更新の度に3DVisionのチェックを外す作業が無くなるかと思うと少し寂しいが、3Dゲームの一つの歴史として我々の心の奥に留めておこう。バーチャルボーイに勝るとも劣らないNVIDIAの黒歴史であるからして。