KAT loco

VRChat民希望の星KAT locoについてまとめた情報

VR用足踏み移動デバイスKAT loco、KAT loco Sに関して、今まで集めた情報をここにまとめて随時更新していく。なお、旧KAT locoは2020年11月末に終売、在庫限りとなっている。

KAT loco(キャット・ロコ)は腰と足首にとりつけた加速センサーで動きを検出、それをVR空間内の歩行動作に変換する機器だ。簡易的ではあるがモーションキャプチャー機能も実装している。日本向けには、国内正規代理店である株式会社匠が販売、日本語翻訳を担当。定価はKAT locoが税込33,000円。KAT loco Sは税込38,500円。送料860円。

スペック(旧KAT loco)

パッケージ内容腰センサー x 1個 / 足センサー x 2個 / PC用Bluetooth受信機 x 1台 / 足ストラップバンド x 2本 / 専用ソフトウェア / データ&充電用microUSB三又ケーブル / 受信機用USB-Aケーブル1.5m
センサーモジュール重さ:35g / 寸法:直径50mm x 厚さ24mm / 素材:ABS樹脂、LEDライト / 3軸センサー / 反応速度:20ミリ秒以下 / ストラップバンド長さ:34cm(出資者は48cm版も)
受信機重さ:78g / 寸法:83x83x74mm / 素材:ABS樹脂
通信方式完全ワイアレス:Bluetooth 4.2 / 通信範囲:半径5m(1.5m推奨) / 付属専用受信機:USB 2.0以上 / 技適取得済 R 018-190355
バッテリー種類:リチウムイオンバッテリー / 容量:370mAh / 持続時間:10時間使用可能 / 150時間スタンバイ可能 / 給電:フル充電まで1時間 / 充電電圧と電流:5V = 0.5A(2A MAX)
対応HMDOculus Rift (S) / HTC Vive (Pro, Cosmos) / Valve Index / Windows MR / Pimax他SteamVR対応製品 / Oculus Quest(Oculus Link)、PS VR対応
ソフトウェアSteamVR互換 / API公開予定 / Unity、UE対応SDK / キーボードモード、ゲームパッドモード予定 / 日本語サポート
価格税込33,000円、送料860円
その他保証期間:1年(ファンディング出資者は適用外) / 制限:1部屋につき1台のみを想定(複数台設置は非推奨)

使用感

東京ゲームショウ 2019にて、実際に体験してみたところ、 今までのコントローラー移動はなんだったのかと思う程、非常に気持ちよく自然にゲーム内を動き回ることが出来た。しかも、つけていることを忘れるくらい軽いのだ。進みたい方向へ自分の足を使って移動できるため、更に没入感が高まる感覚を覚えた。まさにVR天国への鍵となるデバイスではないだろうか。

ケーブルレスVRは天国VR天国

ただし、立って足踏みしていると、いつの間にか飛んでもなく離れた場所に移動してしまう。自分では常に同じ場所を維持していると思っていても、現実では徐々に想定位置からずれていくのだ。使用するときは周りの安全に十分気をつけて遊ぶようにしたい。

VRでは周囲にご注意

また、激しく動き過ぎると動作がおかしくなることがある。具体的には真っ直ぐに前進したつもりが斜め前方へ進んでしまったのだ。このような状況になったら、ゲーム内でも腰ボタンを押すことにより、いつでも簡単に初期化再調整できる。なので、使用上は、特に問題ないと思われる。

機器の構成は、腰、両足首の3ヵ所に丸いセンサーを装着、PCに専用Bluetooth受信機をUSBケーブルで接続する形。SteamVRを通して動作させる。

この時の体験では機能抑制されていたが、足を横に出せば横移動、後ろに出せば後退も可能。詳しくは先述の動画を参照。

モーションキャプチャー機能

2020年1月10日、KAT Gateway ver.1.2.0にて3点モーションキャプチャーが実装された。詳細は次の記事を参照されたい。

しかし、残念なことに、5センサーによる拡張モーションキャプチャーは実現していない。開発予定だったが2021年2月現在も白紙状態だ。しかも、通常は1部屋につき1台しか使えない

why I can't use 2 pcs of KAT loco at the same area?

KAT loco is designed for home use ONLY and NOT for the commercial use, so you can't use 2 pcs of KAT loco at the same area by default. If there is any problem for using more than 2 pcs of KAT loco at home at the same time, please contact with KAT after-sales for technical support...

同じ空間でKAT locoを2セット使えないのはなぜ?

KAT locoは業務用ではなく家庭用です。そのため、規定では同じ空間で同時に2セット使うことは出来ません。もし、2台以上の使用で問題があれば、技術サポートへ連絡を...

KAT locoサポートページ (KAT VR社公式)

そのため、実装前に慌てて2台買うことは控えた方が良い。気長に待とう。

クラウドファンディングから現在までの流れ

2019年6月10日

KAT locoクラウドファンディング開始

VR用歩行デバイスKAT WALKを2015年に、その軽量版であるKAT Walk miniを2018年に発表した中国のKAT VR社、家庭用に超小型歩行デバイスとしてKAT locoを発表。KickStarterで出資を募る。

モーキャプ実装発表

突如、ストレッチゴールに存在していなかったモーションキャプチャー機能の追加を発表。先にファンディン中であったWalkOVRが、10日にモーキャプ実装を表明したことに触発されたものと思われる。わずか2日でデモ動画をアップ。センサー数は標準の3つではなく5つ装着。

2019年6月12日
2019年7月20日

KickStarterでのプロジェクトが成功

1,379人の出資者から182,581ドルを集める。価格は送料別79ドル~139ドル(15,000円)だった。内訳は米国489人、日本109人、ドイツ93人。圧倒的に米国が多いものの、日本人が2位に並んでいるのはモーションキャプチャー機能追加のおかげか。VRChat民多過ぎである。割合は8%。

日本国内に空売り転売ファンド登場

輸入会社リシェア(ココロックス)がGreenFundingにてKAT locoのファンディングを開始。価格は28500円~。定価33500円。サポート無しの空売り転売にしては高過ぎだと話題に。後にKAT VR社がtwitterで宣伝したことから、公式バックアップの元行われていると判明。日本国内で興味を持っていた人々の間に動揺が走る。ここでの購入者は49名。8月31日に終了。

2019年8月1日
2019年8月30日

パッケージ写真公開

KickStarter上で進捗更新。パッケージ写真が公開される。専用受信機が付属すると判明。

東京ゲームショウ 2019で体験展示される

TGS 2019にて、株式会社匠&KAT VR社スタッフによるKAT Walk mini、KAT locoの体験展示が行われ好評を博す。また、株式会社匠が国内正規代理店になったことが明かされる。これ以後の並行輸入は全てKAT VR社のあずかり知らぬものとなる。

2019年9月12-15日
2019年9月28日

Campfireに空売り転売ファンド再登場

GreenFundingの輸入会社リシェアが行っていた。KAT VR社、国内正規代理店ともに把握しておらず、寝耳に水。国内正規代理店が1社に絞られたため、このファンディングは非公式。契約的にNGである。製品調達方法は不明。トラブル防止の観点から注意喚起を促す。KAT VR社自ら、Campfireにファンディング停止を申し入れるも、完全停止ならず。1名購入済。All-In方式なので返金はされない。10月30日終了。

非正規販売の多さに改めて注意喚起を行う

商品が何ヵ月も届かないことで悪名高い輸入代行会社ヴェルテも取扱いを始めており、国内正規代理店より改めて注意喚起をする運びとなる。

2019年10月21日
2019年10月26日

日本語による最新情報が発表される

代理店がまとめた現時点の最新情報が公開。サポート状況、発売予定日、機能詳細について言及。モーキャプは開発中につき確かなことは言えない状態。

追加送料請求メールが届く

発送対象出資者へ、追加送料が別途必要な旨、通知が届く。日本へは特急便42ドル、通常便20ドル、マットレス辞退本体のみ12ドルが必要。国、特急便別に20ドル-60ドルと幅があり、混乱をきたす。3セット100ドル請求され怒る人も。人数により変動する料金のため、元々FAQに"送料後払い"と書かれていたが、大勢が見落としていた。高額なのは、ほぼマットレスのせいである。KickStarter的にも追加送料は非推奨(禁止ではない)。

2019年10月27日
2019年11月1日

キックスターター組へ出荷開始

多数の製造ライン写真とともに発送開始の告知が出る。 出資時期が早い人から出荷。到着まで3-15日かかる 。初回は100セット未満。製造と発送を随時行うバッチ方式を採用。最終的に2000セット近く必要。

最初の受取り報告現る

60番台のドイツ在住者が到着報告。しかし、同日50番台でも発送メールが来ていなかったりと少なからず荒れた。

2019年11月16日
2019年11月19日

公式サポートページ公開

KAT VR社による英語サポートページが登場。マニュアル、インストール動画、ソフトウェア、FAQと充実の情報量である。

生産能力を増強

初回は100個程度しか発送できなかったものの、第2バッチから生産能力を増強。3~4バッチ以内に全出資者へ届けることを目指すとした。が、推定1000個出荷の第2バッチがギリギリ年内に発送できるかどうかである。そのため、全出資者への発送は2020年初頭にずれ込むことになった。

2019年12月
2019年12月末

グリーンファンド組が無事受取る

懸念されていたグリーンファンディングに出資した人々へ無事届いた。

モーションキャプチャー実装

3点センサーによるモーションキャプチャーが実装された。

2020年1月10日
2020年1月11日-15日

代理店がプレゼント企画開催

先行入荷数は50台。これを記念してプレゼント企画を開催(KAT loco10台、アマゾンギフト券15人)。404人の応募、636件のリツイートを達成。40倍の競争率で大激戦となった。

国内一般販売開始

18時、プレゼント当選者発表と共に一般販売開始。初期キャンペーン価格29,700円。送料860円。カード、PayPal、コンビニ支払い等、各種支払いに対応。1月分30台。2月分100台を用意。1月分は僅か50分で完売した。

2020年1月18日
2020年1月26日

国内2月入荷分100台完売

18日18時の一般販売開始から8日と言う驚異の早さで完売した。次回入荷は3月予定。

生産遅延

コロナウイルスの世界的な蔓延により、工場が操業停止。兼ねてより遅延していた発送が更に遅れることとなる。納期が大幅に遅れるため、代理店はキャンセルも受け付けるとした。

2020年2月初旬
2020年4月初旬

生産出荷再開

3月下旬より工場が操業再開。2月納期分が国内購入者へ届いた。代理店によりアルコール消毒済。同時に残りのKickStarter出資者へも届き始める。但し、出資者向けは航空便となるため、減便や税関業務縮小の影響で到着まで1~2ヵ月かかる見込み。

キーボード、ゲームパッドモード追加

VRモード、モーキャプモードに次いで、残っていたキーボードモード、ゲームパッドモードが追加された。これで非VRゲームでも使えるようになった。使いやすいかどうかはまた別の話。

2020年5月14日
2020年11月22日

KAT loco Sを発売

ハードウェアを増強した改善版KAT loco Sを発売。それに伴い旧版は終売。磁力耐性アップ、地磁気センサー追加等の増強が図られている。

KAT loco S国内販売開始

日本総代理店 株式会社匠が、日本国内でKAT loco Sを販売開始。キャンペーン価格として38,500円を、個数限定33,333円に。同時に本品と純正バンドを3名へプレゼントする企画も行う。

2020年12月16日
2020年12月24日

KAT loco Sアップグレードプログラム開始

旧ユーザーが89ドルでKAT loco Sに交換できるサービスを開始。旧製品交換には各国の正規代理店を利用する形となる。対象はキックスターター支援組のみ。

日本国内でもアップグレードプログラム開始

日本国内でも旧ユーザーがKAT loco Sへアップグレードできるサービスが始まる。価格は税込12,000円+送料860円。キックスターター以外の国内ファンディング組も対象に含まれる。

2021年1月5日

生産体制

2019年11月1日より出資者への発送が始まったが、生産状況は芳しくなかった。増産体制が整わず、初回出荷は100台弱。第2発送は11月中旬頃から数百個単位に増やして取り掛かったものの、数は1000台未満だった。

この生産、発送の大幅な遅れにより、各国代理店向け一般販売分も2020年1月に延びてしまった。後発だったグリーンファンディング分は幸いにも2019年内に到着。

また、一般販売分が先に流通してしまい、出資者が報われない事態となった。出資者分は2020年2月ないし3月までには完了させる予定でいたが、コロナウイルスの世界的蔓延により春節後の2月から生産工場停止。3月末に再稼働し4月より順次発送した。

2021年1月より、新KAT loco Sの増産に入っているが、生産数は需要に追いついていない。世界的な半導体産業の逼迫が関係しているのかは不明。

サポート

マニュアルや管理ソフトウェア、FAQ等は公式の英語サポートページを参照。その他、製品の故障や不具合は正規代理店が対応していたが、2020年5月末より基本的にKAT社自らが行っている。当然、海外製品なので英語によるやり取りとなるが、自信が無いようなら日本語のまま送っても何とかなるだろう。

まとめ

空売り転売業者に目をつけられたり、生産、発送が大幅に遅れる等、受難続きではあるものの、実際に体験してみた結果から、VR用歩行デバイスとして買って損はないと断言できる。全くケーブルが必要ない完全ワイアレスはすこぶる快適だ。但し、モーションキャプチャーだけが目的であるなら、実際の動きを見て判断した方が良いだろう。Viveトラッカーのような高精度ではないため、満足のいくものかは保証できない。歩行デバイスとしても楽しんで欲しい。

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