「Irrlicht」タグアーカイブ

Irrlicht、アニメーション形式統合、IUnknown廃止に

Unified Skeletal Animation, RIP IUnknown (Irrlicht3d.org)

Irrlichtは非常に多くのファイル形式を直にサポートしていることで知られています。例えば、アニメーションB3D、DirectX、Milkshapeファイルを、たった2行のC++コードを用いるだけで、ダイレクトに読み込んで表示出来ます。Irrlichtはこれをそれぞれのファイル形式のメッシュアニメーションコードを実装することにより実現しています。これらの実装はお互いに短所と長所を持ち合わせています。しかし、この差異問題について現在は少し修正を加えています。hybridは数日前、Irrlicht svn trunkの中にSkinnedMesh-Branchをマージしました。trunkには多くのIrrlichtエンジンユーザのため、lukeとbitplaneの多大な成果も盛り込まれています。

私は既に開発版irrEditへ、それらの新コードを適用し、リリースされたばかりのirrKlang 1.0にも対応させました。いくつかのテストを済ませ、全て想定内の動作をすることも確認しています。嬉しいですね。3Dエンジンの全機能の70%を使用するような多機能エディタは、かなり良い検証用ソフトになると思います。

また、私はほぼ全てのIrrlicht基底クラスである"IUnknown"を"IReferenceCounted"にリネームしました。この変更は昨日のirrKlangのリリースと共に行いました。リネームの理由のひとつは、Irrlichtの名前空間を使いたがらない人々が"windows.h"をインクルードしたときに、クラス名の衝突が起こる事にあります。その他の理由には、もちろん、IReferenceCountedはIUnknownよりも他所で使用される確率が少ないからです。

原文 - Nikolaus Gebhardt / 翻訳 - 屋森英樹

アニメーションクラスを大改修、確かにとんでもない勢いで進行していました。要するに、「Irrlicht独自のアニメーション定義を作り、読み込み時に統一しよう」と言う事。これで他のアニメーション形式からの変換もやり易くなればいいですね。

もうひとつの変更点、IUnknownの名称変更ですが、名前空間を適切に使っている人には縁のない話です。IUnknownは特にいろんなプロジェクトで見かけます。名前空間を使いわけないと、頻繁にクラス名の衝突が起こって大変ではないでしょうか。ライブラリを使う側は名前空間をもっと有効活用したほうがいいと思います。何が言いたいかと言うと

「ヘッダにusing namespaceは書かないで!」

名前空間の開放はcppファイルの中でお願いします(切実)

月桂樹オンライン(Gekkeiju Online)に潜入してみた

フィンランドのソフトハウスCoolhouseが運営する無料MMORPG「月桂樹オンライン(Gekkeiju Online)」を体験してみました。タイトルから分かるように日本を意識しています。サイト全体に漂う萌えテイストが甘酸っぱいですね。このゲームは開発ライブラリにIrrlicht、irrKlang、AngelScript、RakNetが使われています。Irrlicht公式サイトからもリンクされており、最近Youtubeにオフィシャル動画を公開しました(2ヶ月で100回未満しか閲覧されてません)

動画を見る限りでは、タイトルとは裏腹に、そこかしこから洋ゲーっぽさが滲み出ています。日本風なのはキャラの顔だけ。騎乗生物、船、借家、MUD(マルチユーザダンジョン)等、既存MMOのトレンドを果敢に取り入れています。

それではインストール。言語選択画面が現れます。何と日本語がありません。日本仕様なのはタイトルとキャラだけのようです。仕方ないので英語を選びましょう。

インストール画面

インストール後、オンラインアップデートを経てログイン画面。デフォルトのウィンドウサイズは1024x768です。一応、任意のサイズにも変更出来るようです。

ログイン画面

キャラ作成に入ります。何だかモデルが貧相です。開発者自らがモデリングしたのでしょうか。私は種族選択でネコミミのキャットフォーク(器用な猫族)を選びました。自キャラは種族の他に、性向、境遇など、他のゲームではあまり見られない属性も選ぶ必要があります。私は性向は悪、境遇は孤児にしました。スラム街で暮らすシーフを意識してみたつもりです。

キャラクター作成

さて、いよいよログイン。ワクワクしながら月桂樹の世界に足を踏み入れました。すると何故か目の前に宿屋のベッド。お隣には見知らぬオークのオヤジ(NPC)。オークからの熱い視線に、いけない想像をしてしまいそうです。気づいたら脱がせていました。

下着姿

下着はピンクでございます。ご馳走様でした。今回のレポートはここまで。また機会があれば潜入してみたいと思います。

フィールド風景

このゲーム、D&Dやソードワールド、ガープスのようなテーブルトークRPGを目指しているのかもしれません。現にYoutubeのプロフィールには好きな書籍にドラゴンランスシリーズと書いてあります。冬季オリンピックでも有名な雪国から、日本フリークが提供する新機軸MMORPG。無料で遊べますので興味があればどうぞ。グラフィックの稚拙さとGUIの使い難さがマイナス要素ですが、その辺を気にしなければ良作なのかもしれません。

irrKlang 1.0、ライセンス価格が提示される

irrKlang 1.0 released, some facts and a review about it (Irrlicht3d.org Blog)

12回のβ版とα版リリースを経て、遂にirrKlang 1.0が登場しました。irrKlangはC++、C#、VisualBasic.NET etc.対応のオーディオライブラリです。ソフトウェアがバージョン1.0を迎えるのは、いつも素晴らしい事です。もちろん、irrKlangも例外ではありません。irrKlang 1.0は安定版であり、沢山の機能を提供しています。

irrKlangはバージョン1.0に至るまで、合計数万回ダウンロードされました。また、日曜プログラマ、irrlichtユーザ、インディーズや大手ゲーム会社、そして、今日では科学者や3Dエンジン開発者達によってテストされ使われました。使用プロジェクトのいくつかは、既にこのブログ上で紹介しています。皆さんがirrKlangを使いやすいと考えており、そのような人々の役に立っているのを、私は非常に嬉しく思います。もちろん、商業ライセンスを購入してくれる人々が存在し、近々店頭に並ぶ製品に同梱される事もありがたい限りです。あなたが実際に手に取るゲームがirrKlangを使っている、痺れますね:)

このバージョン1.0は新機能の提供とドキュメントの向上(irrKlang for C++irrKlang for C#)も図っています。また、インディーズ開発者には興味深い情報もあります。irrKlangのライセンスは、顧客とメールで何度か意見交換して弾き出した、現在私が考えうる最も融通の利いた価格設定となっています。irrKlangを使用している全ての人々に感謝します。建設的なフィードバックをくれた人々には特にお礼申し上げます。近いうちに、より洗練されたirrKlangを我々が目にするだろうと私は賭けます。

原文 - Nikolaus Gebhardt / 翻訳 - 屋森英樹

昨日のアナウンスの通り、nikoのプロダクトの一つがアップデートしました。Vistaでも動作するようなので、安心して使えそうです。肝心のirrKlangのライセンス価格は以下のようになっています。(日本国内からは必要ないはずですが、EU地域でライセンス購入するには別途消費税が加算されます。)

  • 非商用:フリーウェアが対象 / フリー
  • シェアウェア:14ユーロ(2200円)未満の1製品か5ユーロ(790円)未満の製品群 / 65ユーロ(1万円)
  • ミドル:25ユーロ(3940円)未満の1製品 / 145ユーロ(2万2900円)
  • フル:1製品 / 390ユーロ(6万1500円)

絶妙な価格設定ではありますが、日本円換算すると意外に高いですね。まぁ、試用してみて気に入ったら購入を考えてもいいのではないでしょうか。3Dサウンドが使えないVistaでも頭を悩ませないで済むのは嬉しいです。

Irrlicht、素粒子物理学の世界で活躍

Irrlicht, irrKlang and Particle Physics (Irrlicht3d.org Blog)

Amelia(ATLAS Multimedia Educational Lab for Interactive Analysis)は、世界最大の素粒子物理学研究所CERNの、ATLAS探知機(A Toroidal LHC ApparatuS)を売りにした高エネルギー物理学のためのプロジェクトです。アプリケーションはこのような感じです:

Amelia(ATLAS Multimedia Educational Lab for Interactive Analysis)

IrrlichtエンジンirrKlangを使い、AMELIAは3Dインターフェース上でイベント解析とシミュレーション映像(訳注:contextual mediaだけど意味不明)を統合します。オープンソースであり、個人的にはかなり印象深いIrrlicht製の非ゲームプロジェクトです。(恐らく、私が物理学に詳しくないから、そう思うのでしょう)

翻訳 - 屋森英樹

とうとう、物理学の世界にまでIrrlichtが浸透してしまいました。スクリーンショットは粒子加速器の内部をシミュレートしたもののようですね。動いている映像をぜひ見たいものです。

これまでどのようなプロジェクトに使用されたのか分からず、Irrlichtの使用を躊躇っていた人は多いかと思います。このような紹介記事はエンジンの能力を知る上で貴重な情報になるのではないでしょうか。ゲームだけに留まらず、ユーティリティ類も存分に紹介してくれることを期待します。

2007年08月29日追記

主任開発者のQuantum_Leapが直々に動画をアップしたようです。興味がある方はご覧下さい。

AMELIAビデオ[192MB]

Irrlicht製商用ゲーム Galactic Dream: Rage of War

Galactic Dream: Rage of War Released (Irrlicht3d.org Blog)

Galactic Dream: Rage of Warがリリースされました。これは、Irrlichtを使用した、商業用リアルタイム宇宙戦略ゲームです。私はこのゲームを既にブログで紹介してはいますが、今回は完成版であり、以前より多少出来栄えが良くなっています。

翻訳 - 屋森英樹

早速、私もダウンロードして遊んでみました。キーボード操作を基本としているようで、マニュアルを読まないと満足にオペレーションが出来ませんでした。もう少しGUIを洗練し遊びやすくして欲しかったです。一応、ゲーム中にF1キーを押せばヘルプを見られます。

このゲームを制作したのはEvolution Vaultというスタジオ。問い合わせ先から察するにルーマニアに居を構えているようです。今回の作品が処女作で2年以上開発を続けてきたとのこと。自分達の理想とするゲーム像があり、これはその信念をまさに形にしたものだと言えます。多くの人に受け入れられるといいですね。

ここで視点を変えてプログラム構成を見ていきましょう。興味深い事にオープンソースの見本市的な仕上がりです。以下に公称されているライブラリ一覧を列挙してみます。

Irrlicht SSE2版:我らがIrrlicht。これが無いとお話になりません。ファイル名はIrrlicht_sse2.dll。SSE2命令でエンジンを独自に書き換え大幅に最適化したか、IRRLICHT_FAST_MATH定義を有効にしてirrMathのアセンブラを高速化したバージョンだと思われます。古いCPUでは動かないでしょう。

audiere:かつて、irrKlang発表前にIrrlicht DEMOにも使用されていたLGPLのサウンドライブラリ。ライセンスに多少不安が残るものの、自由に使える数少ない多機能サウンドライブラリです。

OpenAL:Creative社のサウンドライブラリ。オープンソースで公開されています。ライセンスは独特ですがロイヤリティフリーで制限無く使えます。audiereを使っているので、本来、こちらは不要なはず。採用されている理由を考えるとすれば、Vista対応を果たすためでしょうか。VistaではDirect 3Dサウンドが廃止され放置のままになっています。3Dサラウンドを実現するにはソフトウェアエミュレーションするしかありません。その最も有力なのがこのOpenAL APIとなります。Creative社がここぞとばかりに広報活動しており、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

enet:MITライセンスで公開されているネットワークライブラリ。このゲームの通信対戦部分に使われています。マルチプラットフォーム対応。

ライブラリをワンクッション置く事により、上手くすれば他の環境でも少ない手直しで動くようになるかもしれないですね。